徘徊とは、認知症の症状の一つで、あてもなくうろうろと歩き回る行為を指します。
家の外に出てしまうこともあり、場合によっては命にかかわる事故に巻き込まれるケースもあるため、自宅で介護をする人は大変で、実際に介護されているご家族様が相談に来られるケースもあります。新温泉町内でも一人で外出先で迷子になって、警察に保護されるケースが時々あります。
しかし、周囲からはあてもなく歩き回っているように見えても、本人にとっては何かしら理由があって行動していることも多いです。
本人の気持ちに寄り添いながらも、徘徊による事故に注意しなければいけません。
認知症患者における徘徊は、本人の中にきちんとした目的があって動き回っているケースが多くみられるので、意味を考えると「徘徊」という言葉を使うことは適しておらず、また認知症に対する誤解や偏見につながる可能性があります。
そのため、「徘徊」という表現は原則使わず、例えば「ひとり歩き」など、伝えたい内容に応じて言い換えるようにしている自治体もあります。
今回は徘徊の対策・予防策についてご紹介したいと思います。
①近所の人や地域(自治体)と連携する。
SOS見守りネットワークに事前登録を行うことで、一人一人の地域の見守り体制を検討し、日頃から地域で見守りを行うことで、行方不明の未然防止につながるだけでなく、安心して暮らせる環境づくりに繋げることができます。新温泉町でも行っている事業で、地域包括支援センターが実施機関となって、関係機関(美方警察署、民生委員、社会福祉協議会など)、協力機関(趣旨に賛同した団体、企業など)が構成委員となっています。
②介護保険を利用する
デイサービスを利用する・・介護の負担も軽減され、本人も体を動かすことで夜はぐっすりと眠れるようになり、昼夜逆転を防ぐ ことができます。
福祉用具のレンタル・・徘徊探知器をレンタルする。徘徊探知器とは、その名の通り認知症を抱えた高齢者が屋外へ出ようとした時にそれを検知し関係者に通知するシステムです。
※原則要介護2以上でレンタル可です。
③適度な運動をする・・日中、畑仕事や散歩をすることで夜はぐっすり眠れるようになり、夜の徘徊を予防できます。
④付き添って一緒に歩く・・外に出るという目的を果たせると、安心してすぐに家に帰り、落ち着いてぐっすりと寝てくれるケースもあります。
介護する人にとっては大変ですが、本人の気が済むようにさせてあげることも大切なことです。
⑤玄関に工夫をする・・例えば、本人の手が届かないところに鍵をつけたり、ドアの開閉がわかるセンサーを取り付けたりします。
⑥服や持ち物に名札をつけておく・・保護した方から連絡をもらえる可能性が高くなります。
⑦生活習慣を整える・・食事時間や起床・就寝時間を毎日規則正しく保ち、体調や生活のリズムを整えることが大切です。
⑧趣味や仕事など生きがいを見つける・・徘徊をする理由に、「居場所がない」「必要とされていない」という孤独感や不安感があります。そのため、没頭できる趣味や仕事があることはとても効果的です。
★まとめ★
一人暮らしや家族と同居している高齢者の人が徘徊する原因はさまざまです。認知症が進行してくると徘徊する可能性も高くなってきます。徘徊と聞くとどうしても周りの人は困ったことだ、でもどう対応したらいいか分からないと戸惑ってしまうことが多いです。徘徊という言葉がそうさせているのかもしれません。
しかし、本人からみれば目的があって、ただその目的に向かって行動しているだけなので、周りの人はその行動に対して理解した上で対応することがとても大切です。
認知症の人の思いや行動はなかなか理解しにくい部分があります。その徘徊が原因で実際に事故にあったり、場合によっては最悪な事も想定しまうと、とても心配になるのも事実です。それを防ごうと介護している当事者は徘徊しないように時には行動を制限してしまうこともあります。
徘徊という言葉はマイナスイメージを持たれる方が多いですが、徘徊とはどういった行動か改めて考えていただくことで、本人の思いに寄り添って適切な対応ができると思います。今回紹介した8つの対策も参考にしていただけたら幸いです。